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リーダーのこだわりを手放そう!

悪いサイクルに陥っていないか?

ミドルマネジャーが日々の業務でイライラしたり、悩んだりする大きな原因の一つが「リーダーのこだわり」によるものであったりします。

そう言われても、もしかすると、あまりピンとこないかもしれません。しかし、この「リーダーのこだわり」を手放せる(※「こだわりから離れる」と表現してもいいかもしれません)とイライラや悩みが解消するばかりか、メンバーのパフォーマンスがグングン上がる関わり方ができるようになります。

「メンバーから思うようなアウトプットが出てこない」

そんな悩みを抱えているリーダーは少なくありません。かつての私もそうでした。ですから、気持ちはよくわかります。

メンバーから望んだ通りのアウトプットが出てこないことにイライラし、「もう任せておいてもダメだ」と思い、強い口調で事細かに指示するか、あるいは自分でやってしまうか。後になって冷静になると、その自身の行為に罪悪感を感じ、自分を責めるの繰り返し。追い打ちをかけるように、成果を出さないといけないプレッシャーがのしかかってくる。

完全に悪いサイクルに陥ってしまっていました。

アウトプットする目的と要件を一致させる!

このサイクルから抜け出すにはどうすればいいのでしょうか?

先述した
「メンバーから思うようなアウトプットが出てこない」
という問題は、実はメンバーだけに問題の原因があるわけではありません。リーダー側にも問題の原因はあります。

例えば、メンバーに
「今日の会議の議事録を作成しておいてください」
と指示したとします。

皆さんは、どんな議事録を作成しますか?

Aさん:全出席者の発言と結論を網羅した議事録を4時間かけてA4×5枚で作成した
Bさん:結論のみを記録した議事録を30分かけてA4×1枚で作成した

さて、これはどちらが正解なのでしょうか?
実はこの時点では一概にどちらが間違っていて、どちらが正解なのかを決めることはできません。というのも、リーダーの求める議事録を作成する目的しだいで要件は変わるからです。

もし、議事録を作成する目的が「会議中に誰がどんな発言をし、どんなアイデアが出てきたのか、結論はどうなったのかを参加者以外にも知らせたい」ということであれば、Aさんの議事録が要件を満たすことになります。一方、Bさんの内容では要件を満たすことができません。

また、「会議で決定したことをなるべく早く参加者へ通知したい」ということであれば、Bさんの議事録で十分に要件は満たせますが、逆にAさんの議事録では手間も時間もかけ過ぎていることになります。

ですから、メンバーに思うようなアウトプットを出させたいと思うのであれば、リーダーが指示する際に、仕事の“目的”と“その要件”について、メンバーとすり合わせることが鍵となります!

リーダーの100点基準を手放してみる!

メンバーと仕事の目的や要件を一致させたとして、それでも「思うようなアウトプットが出てこない」という時はどうすればいいのでしょうか?

そんな時は次の3ステップで対応するように心がけてみます。
①部下の仕事ぶり(アウトプット)は何点なのか?
②まずは加点した部分に目を向けてみる
③一旦、リーダーの“100点基準”を手放す

一つずつ解説します。

①部下の仕事ぶり(アウトプット)は何点なのか?
これは難しいことではありません。
部下の仕事ぶりやアウトプットを見て、100点満点で何点なのか、点数をつけてみればいいのです。ちなみに、部下に点数をつけさせてみるのも一つのやり方です。

②まずは加点した部分に目を向けてみる
その上で、まずは加点した部分に目を向けてみます。というのも、どうしても人は減点部分から見てしまいがちだからです。
例えば、娘とテストの振り返りをしていると、どうしても×になった問題から見てしまっていました。娘は楽しそうではありません。しかし、ある時、○になっている問題を見て「ああ、この問題解けたんだね」と伝えたら、娘は「そう、解けたんだよ」と嬉しそうだったのです。その瞬間、ハッとさせられました。
子供と同じとは言いませんが、メンバーもまずはできている部分に目を向けてほしいと、きっと思っているのではないでしょうか。

③一旦、リーダーの“100点基準”を手放す
×(減点部分)に目を向けてしまう原因を考えた時、私は自分の100点基準から考えてしまっていると気づきました。つまり、100点から足りない部分に目を向け、「100点にするにはどうすればいいのか」と考えていたのです。

そうしないといけない時もありますが、もし、今のやり方でうまくいっていないのであれば、一度自身の100点基準を手放し、加点した得点、例えばそれが50点として「50点から60点、70点にするにはどうすればいいのか」と考えるようにするといいでしょう。

実はこの2つのやり方は同じようで、全く異なります。自身の「アプローチのしかたを増やしたい」と思うのであれば、ぜひ「現状の点数からどうアップさせるのか」というアプローチを試してみていただければと思います。


最後に

ビジネスの現場で、ミドルマネジャーの役割や責任は大きくなるばかりで、日常業務でイライラすることや悩むことも少なくないでしょう。

そのイライラや悩む原因は「相手にある」として思考することを終えてしまうのではなく、自分自身の中にもその原因を見出してみるようにします。

そして、相手への関わり方(アプローチ)を変えてみることで、相手の反応が変わり、自身のイライラや悩みが解消するばかりか、相手のパフォーマンスが良い方向へ変わるという体験をしてみていただければと思います。